かすまきの世迷言

がんばってかきます。飽きたらやめます。人間だもの。

みんな アイカツ! 10th Story 未来へのSTARWAY を見よう‪☆ (映画アイカツレポ)

ここに断言する。未だかつて有意義な冬を過ごしたことがないと。

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年が明け、あれよあれよと言う間に世間はその様相を変える。つい先日まで和気あいあいとチキンを貪り聖夜に性夜し少子化対策に明け暮れたと思えば心機一転、振袖姿で新年を祝い、信心深く祈りを捧げ清純派を装うことに努める。そうかと思えば三が日明けて通勤通学、いわゆる通常運転へと目まぐるしくその装いを転じる。

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先に述べた他に、成人式、入学試験、各種事始め等、冬には1年間の総決算というにふさわしい行事がはちきれんばかりに詰まっている。このような人間的成長の機会を多分に含んでいる季節だというのに私はそういった世情から置いてけぼりにされ、独り焦燥に駆られていた。あたたかくぬるま湯のような慈愛に満ちた異世界から逆転生してきた私にとって、この世界の風当たりは冷たく、まして外に出ようものなら冬風も相まって身も心も凍りきってしまうであろう。そうして出来上がったマヌケな氷像は目も当てられない。世界よ!もう少し優しくしてくれてもいいではないか!これではツンデレの塩梅が滅茶苦茶ではないか!シベリア流刑地さながらの凍える環境下にあっては人間的成長などお釈迦様でも不可能である。私は元居たやさしい異世界の作法に則り、冷酷に門扉を閉ざした社会のデレ期到来、冷たい向かい風が止むまでの間、冬眠という戦略的撤退へと打って出た。夢やぶれて布団あり──ああ、やさしい異世界に還りたい……..

だというのに皆、実にエネルギッシュである。この世界の住人はいったい何処に無限とも思える活力発電機関を有しているのか。エネルギー保存則に反する、現代物理学への冒涜である。エネルギー問題が取り沙汰される昨今、もう少し省エネに生きても良いではないか。活力の無駄使いをしていては気力価格の高騰、ハイパーインフレを引き起こし、それによってアルコール充電なしには作動しないヤル気スイッチ、日に日に摩耗し燃費が悪くなる身体、果ては財政破綻が待っているに違いない!!

しかし私も手をこまねいているわけにはいかない。たとえ僅かであったとしてもあまあま♪キュンキュン♡な冬を味わいたい…ここはなんとしても、起死回生の打開策、活力発電機関の発見、巻き返しを図り軽佻浮薄に冬を謳歌するこの惑星の住人へ目に物見せてやるのだ…!捲土重来!捲土重来!!私はこの問題に着手するにあたって、そのとっかかりに一縷の光を見た──

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2023年1月某日、新宿バルト9にて

私は、自らの半生、あるいは半身の歩んだ人生に終止符を打とうとしていた。事の起こりは10年ほど遡及する。当時クソガキだった私の預かり知らぬところでその物語は始まっていた。

そう、アツい、アイドル活動。アイカツが────────

私がアイカツに出会ったのはアニメシリーズ放送の真っ只中、アイカツの歴史が始まって少し日が経ってからであった。当時、私の周囲で友人知人が続けざまにこの作品に浸っていき、漏れなく私もその洗礼を受けた。まず最初に、女児アニメと思えないほど骨の髄まで響く曲の良さに心が動いた。そして作品の随所に込められた様々なメッセージ、切磋琢磨する中で現実と折り合い、ライバルであると同時に仲間である、アイドルというアツい関係性に心酔した。協調性や個性的な他者の尊重、互いに理解し合い成長する青春模様、夢や憧れ、想いを包括した〝バトン〟を託し、そして託され繋がってゆく道──この〝バトン〟を胸に、憧れを道標としながらも、それぞれがそれぞれの在り方を確立しアイドルとして昇華してゆく。美しいではないか。女児アニメと侮るなかれ。こういった、正しく一般教養といって過言ではない「アイカツ」の在り方に魅せられ、私はすぐさま全話を脳裏に焼き付けんと努めたのであった。別時空において私の半身は 「スターライト学園」の門徒となり、いちごちゃん達、延いては作品と共にアイカツしている自分がいるのだ。そう自分に言い聞かせ、私のアイカツは始まり、私の人生の一部となっていった。

ライブイベントやアイカツ筐体を通じた作品との交流を重ねるに連れ、「アイカツ!」で描かれるアイドルのイデア、美しい人間のイデア、それをどう現実に落とし込むか、自助努力によりどこまで近づけ体現していくか、というのが目下の課題となり、いつしかこの難問に立ち向かうことが、“私のアイカツとなった。

善処した。努力はした。しかし結論から言うと今の私は及第点にも至っていない有様だ。実に面目ない。

アイカツという物語が10周年という節目にその軌跡、アニメシリーズの総決算を公開する。私はこれを受けて今一度これまでの人生を反省、いや猛省せねばならない───────私はそう決意し、予告編の僅かな間にダイソン顔負けの吸引力でポップコーンを平らげ固唾を飲んでスクリーンを見守った。

(アイカツのストーリー、そのあらすじについて事細かに書き連ねたいところであるが、諸君らアイカツを嗜む乙女は先に述べたような教養を身につけた上で各々アイカツに励んでいるであろうし、分量の関係上、本項の趣旨から逸脱してしまうのでその詳細についてここで述べるのは差し控えたい。尤も、成熟した乙女であるというにも関わらず未だアイカツ未履修の不届き者がいた場合、早急に全話履修するよう留意されたし。)

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映画はアニメシリーズ最終話後の時系列から始まる。テーマは卒業と未来。アイカツの歴史、その礎となったいちごちゃん達世代がついにスターライト学園を去り、卒業するのだ。卒業記念ライブ、卒業、それに伴ってこれまで歩いてきた道、学園での日々、アイドル活動を振り返り、ひとりひとりまだ知らない未来を考える。スクリーン前には自身と共にあったアイカツとの思い出を想起し、ひとりひとり未来について進む道を選び取っていくソレイユの成長、身辺寂しくなってゆくいちごちゃん達を見送るにつれ、物語に結末が迫る寂しさを実感し、涙する者もいたに違いない。かくいう私もその一人である。10周年、アイカツと共に歩んできた乙女であれば高校卒業から大人になっていく頃合い、各々の歩んできた人生と重ね、エンパシーを感じた者もいたであろう。私は涙を拭うと、スターライト学園とともにアイカツをして歩んできた半身の記憶と半生が走馬灯のように脳裏を駆け巡った……

物語はその5年後についても描かれる。お酒を嗜むまでに成長したいちごちゃん達、それぞれの道はどのような未来となったのか、そして───────

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絶賛公開中の時分、これ以上の詳細を語るのは差し控えたい。是非劇場で見て欲しい。そして「MY STARWAY」とてもいい曲である。アイカツを見て、そして共に歩んできた全ての人へ向けたアイカツ10年の集大成であり、これを受け取った各々のアイカツ人生総決算の時でもある。推してみるべし。是非劇場へ足を運んでいただきたい。

 

こうして映画館を後にした私は幾許かの寂寥感を胸に、また再び、私のアイカツを始めようと決意していた。しばらく劇場に通いながら、私の今までのアイカツ、これからのアイカツに自問自答して、そしてまた歩き出そう。私は数年越しのアイカツの物語に、また勇気をもらった──────

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興奮、感動その他諸々全てがおさまらぬまま、私は中野サンプラザホールへと向かった。向かう先、アイカツだ!アイカツダッシュ!!!

アイカツ!シリーズ10th Thanks Party <4th month>編へ続く?